「バビロニアのくじ」J.L.ボルヘス (「伝奇集」より)

人生を語る上で、偶然というものは非常に大きな役割を担っている。私たちは生誕から死まで、確実性を持ち保障されることは何一つない。生まれた瞬間から、国籍、性別、容姿、貧富の差などをはじめとする努力や人智を超えた偶然の格差の元で生まれ、その後も…

「金閣寺」三島由紀夫

1950年7月、ある一人の僧侶の放った炎によって金閣寺が全焼しその他文化財6点も失われるという衝撃的なニュースが日本全国を駆け巡った。 この金閣寺放火事件は多くの小説家達に多大な影響を与え想像を駆り立てた。そしてその動機を探った。日本を代表する文…

「イワン・イリッチの死」トルストイ

自分自身の死を想像したことは誰しも一度はあるのではないだろうか。そしてその時人は往々にして突然で劇的なものを想像しがちである。天文学者であるChris impey氏の著作“How It Ends“に次のような一節がある。「人生がコンサートのようなものであったとし…

「脂肪の塊」モーパッサン

私がこの小説に出会ったのは高校の世界史の授業であった。世界各地域の文学作品を時代ごとに作者名と共に頭に叩き込むことにうんざりしている最中、この本のタイトルは強烈な印象を私の胸に残した。当時、一体どんな物語なのか想像を巡らしたものの実際に本…

「車輪の下」ヘルマン・ヘッセ

ドイツの片田舎で神童と言われ育った主人公ハンスは全国のエリートの集まる神学校への合格を二番という席次で掴み、周囲の期待を背負い進学する。その中で多くの挫折を味わい、神経症を患い退学し敗北感とともに帰郷する。しかし、故郷に彼を理解しようとす…